LADY-GO-ROUND
どーもこんにちは!
ULTRASOULstationです。
第3回目のB'z楽曲分析は、
3rd Single「LADY-GO-ROUND」です。
1990年2月21日リリース。
これもフルアルバム「BREAK THROUGH」からのシングルカットであり、前作から1年を待たずしてアルバム一枚完成させています。
ただ、歌詞を書き始めて一年ほどの稲葉氏には相当苦しかったらしく、その時のエピソードはよく語られています。
しかし、そこで潰れるのでなく、新たなオリジナリティとして、百人一首のフレーズを引用し語彙を広げ彩るという試みが成功しています。
こひしかるべき。わがなみだかな。かみのまにまに。
歌詞の分析は多くの方がやってらっしゃいますので基本的に割愛します…。
まず曲の全体ですが…
何故でしょうか、デビュー曲「だからその手を離して」、2枚目「君の中で踊りたい」、そしてこの「LADY-GO-ROUND」、三曲ともテンポがほぼ同じです。
さまざまなことはしつつも、同じテンポが自分達の一貫性ということでしょうか。
そして打ち込みのビートやいろんなサンプリング音源といった共通点も相まって、まるで初期三部作のような印象も受けます。
そしてその三部作の締め、この曲は、よりハードになっています。
では詳しく聴いていきましょう。
0:00~ intro
静かなオルガン?とリバースのサンプル、そして激しいアタック音で幕を開けます。
ブラスのメインテーマ、ギターのメインリフがまるでカウンターポイントのように掛け合うイントロ。
これ作るのはかなりセンスいりますね。
ドラムは打ち込みですが、かなり音が激しく良くなっています。
ハードなメロディ、ハードなギターリフ、ハードなドラム、かなり力強く鮮やかな印象。
0:20~ Aメロ
稲葉氏、余裕が出てきた様子。
ちなみに、デビュー前の稲葉氏から察するに、ビブラートはできるはずです。
しかしB'zではあまり使わず伸ばしたり、独特のしゃくりを使って短くしたり。
日本語で歌うのが難しかったのか、オリジナリティを出そうとしたのか。
よく稲葉氏は歌い方が独特と揶揄されていました。
おそらく、プロとしていかにやっていくかを体現しようとしたのではないでしょうか。
それに加えて、キーや歌いかたが困難な曲を何曲もライブでこなすことを重ねるうちに、今ではシンガーとして孤高の存在になった気がします。
すいません話が逸れました。
0:36~ Bメロ
ギターが入ってきましたが、だいぶ音量小さいです。
いまだにギターのミックスを下げる傾向は続いています。
というか、この曲はボーカルの音量が大きいような。
ドラムやサンプリングのアタック音が激しく刻むなか、ボーカルを大きくし、儚げに歌う稲葉氏を目立たせているのかも。
また、稲葉氏本人による合いの手コーラスがこの曲は多いです。
いろんなコーラスで彩りを持たせています。
サビ前に特徴的なアタック音が入ります。
0:51~ サビ
わかりやすくボーカルを重ね際立たせてきました。
ギターもベースもシンセも結構動いていますが、ゆったり儚げに歌うボーカルとの対比でしょうか。
1:06~ inter
例のこひしかるべきです。
現代語ならなんでもないフレーズが、古語だとここまで特徴的になるとは。
ただあまりに飛び道具過ぎたのか、これ以降は基本的に現代語での言い回しを探すようになります。
1:22~ 2番 Aメロ
1:38~ 2番 Bメロ
1:53~ 2番 サビ
2:16~
またこひしかるべきですが、転調して2回続いています。
前回から1つの手法として物にしましたかね。
2:24~ ギターソロ
少し不思議です。
一小節目の下降フレーズはあまり聞いたことありません。
2、3、4小節の、この音程でのチョーキングは紛れもなく松本氏特有のチョーキング、そしてビブラートです。
そしてその後のフレーズはちょっとよくわかりません。
最近でこそ美しいギターソロを弾くようになった松本氏ですが、初期は凡人には理解できないものを産み出している印象です。
もちろん最後の伸ばすチョーキングは美しいですが、その直前ごちゃごちゃやってます(笑)
2:43~ inter
前回同様、ラストサビ前に静かなパターンを持ってきています。
こう聞くと前回の踏襲が多いですね。
もちろん、盛り上げるための効を為しています。
3:10~ サビ
3:57~ outro
ギターのメロディが非常に良いですね。
ドラム、シンセ、ベース、サンプリングとさまざまな音が鳴る中、新しいギターメロディです。
もう少し展開させても良い気もしますが、最後の盛り上がりに相応しいですね。
終わりかたもメリハリが効いてて良い。
【総評】
初期三部作の集大成とも言えるような楽曲。
「足し算の美学」を、個々のクオリティを上げたものを足し算していくという手法になってきました。
そして、ボーカルが自信に満ちてきている感が伝わるのが良いですね。
しっかりボーカルをフロントマンとして活かすということではないでしょうか。
次回は「BE THERE」です。
ついに売れ始めるわけですが、売れない時期はやはり短かったですね。
かみのまにまに。
君の中で踊りたい
どーもこんにちは!
ULTRASOULstationです。
第2回目のB'z楽曲分析は、
2nd Single「君の中で踊りたい」です。
1989年5月21日リリース。
前シングルから半年を待たずしてのリリース。
自分たちの楽曲ストックが欲しい松本氏は、デビュー半年にしてアルバム二枚を制作します。
B'zは、原則フルアルバム制作をし、そこからシングルカットできるものを選定していくというスタイルとなります。
前作では、ギターとボーカル以外は全て打ち込み音源でしたが、セッションドラマーを招き制作されています。
それにより、より生々しいロックバンドのテイストが加わりました。
ただ打ち込み音源はかなり増えており、ここからB'zは「足し算の美学」とも言うべき楽曲制作をしていきます。
メンバーの限られたロックバンドにはできない、二人に絞ったからこそ逆にいくらでも足せるB'zの特長の始まりです。
では詳しく聴いていきましょう。
0:00~0:14 intro Ⅰ
前作には無かった生ドラムのバスドラムが4/4拍子でビートを刻みます。
軽いカッティングのギターやシンセが鳴る中、噴火のような音、ページをめくるような音など雑多なサンプリング音が彩ります。
意図はわかりませんが、「どんどん足してやるぞ!」といった具合でしょうか。
0:15~0:28 intro Ⅱ
ギターのリフとシンセ(ブラス?)によるメインイントロ。
前作に比べわずかにギターの音量ミックスが上がっています。
そしてギターの音がかなり歪んでおり、それゆえピッキングハーモニクスも目立っています。
音量ミックスが大きくないのでそんな印象はありませんが、現代のミックスなりライブだと、かなりハードロックな仕上がりになるはずです。
0:28~0:44 Aメロ
新しい足し算の美学、「ボーカルとコーラス」の足し算です。
わかりやすく稲葉氏が部分的にハモリを入れています。
これ以後この曲だけでなく、ほぼ全ての曲でB'zは、稲葉氏本人のハモリを何重にも音程を変えて音量も変えて重ねていくのが特長となります。
どの曲もサビで顕著にわかるので、どれでも耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。
0:45~0:48 Bメロ
ボーカルのハモリがわかりやすいですね。
0:49~1:02 サビ
ボーカルの多重録音がかなり効いていますし、ギターのメインリフと相まってかなり良いサビだと思います。
1:02~1:18 Aメロ Ⅱ
サビ終わりですぐ始まります。
ボーカルに合の手を入れるようにギターがメロディーを奏でますが、少し慌ただしいような。
Bメロまで奏で続けてもいい気がしますが、それだとくどくなりますかね。
1:18~1:23 Bメロ Ⅱ
サビ入り前のドラムの「ダダン」良いですね。
1:23~1:51 サビ Ⅱ
特筆すべきは1:37に転調してサビを繰り返しています。
キーはC#mからDmに半音上がり、以後そのままです。
1:51~2:06 ギターソロ
流れるようなレガートフレーズに、後半は高音をアクセントに入れながら展開していきます。
が、特徴的でもないし、なにぶんまだミックス音が小さいこともあって印象に残らないギターソロ。
2:06~2:23 inter
ブリッジミュートしたギターのグリグリした音に合わせ、英詩。
このグリグリ感(?)はまたよく出てきます。
ギターソロよりはるかに間奏らしい間奏。
ちゃんと後に続くサビのフリになっていますね。
2:23~ サビ Ⅲ outro
【総評】
シングル二枚目にして、初期のB'zを特徴づける「足し算の美学」を感じられる楽曲。
ギターの音作りはかなりハードなもので、現代のライブでも通用するでしょう。
稲葉氏の歌詞はどこか「エロティックさ」を表現することも始まり、これも特徴といえます。
まだまだ二枚目で販売は振るいませんが、とにかく作り続けつつも自分たちらしさを表現でき始めた作品といえます。
読んでいただきありがとうございました。
次回は「LADY-GO-ROUND」です。
だからその手を離して
どーもこんにちは!
ULTRASOULstationです。
第一回目のB'z楽曲分析は、
デビュー曲「だからその手を離して」です。
1988年9月21日リリース
記念すべきB'zのデビュー曲ですが、デビュー曲とは思えない捻ったタイトル。
アマチュアや覆面歌手としてキャリアはあれど、初めてのメジャーに挑む稲葉氏なりのオリジナリティではないでしょうか。
稲葉氏のボーカル、松本氏のギター以外のドラムやベースは打ち込み音源で構成されています。
TM NETWORKのサポート等もしていた松本氏にはこの選択に抵抗が無かったのでしょう。
加えて、作曲はギターの松本氏、作詞はボーカルの稲葉氏という分業もこのデビュー曲からスタートします。
原則、B'zはギターとボーカルの二人ということです。
後に松本氏も語りますが、バンドメンバーのエゴのぶつかり合いを見てきたからゆえの二人体制という面もあるようです。
またこの曲はギターの音がかなり小さくミックスされています。
ギタリスト主宰のロックバンドとは思えない音量です。
とにかくギターの音を下げるようにしたらしいですが、松本氏にはターゲットがロックバンドに親しんだ人たちではなかったのでしょう。
ただ、30年前のマスタリング技術は全体の音自体も小さいので、聞くならベスト盤のリマスタリングされた音源を聴きましょう。
前置きが長くなりましたが、詳しく聴いていきましょう。
0:00~0:24 intro
リバースのサンプリングと、ドラム音とは別のアタック音で、いわゆるロックバンドには無いビートと雰囲気を作ってあります。
しかし始まるのはギターの分かりやすいテーマ。
少しリズムは食って始まります。
サビの「だから」の部分といい、小節の始まりではなく、数拍前から食ってテーマが始まるのはB'zに多く見られます。
0:24~0:45 Aメロ
ドラムとベースは前述の打ち込み音。
ボーカルに合いの手を入れるかのように、ギターのクリーンでメロディ。
アタックオン強めなクリーン音で、松本氏にしては珍しい。
0:45~1:00 Bメロ
1:00~1:16 サビ
独特なリズムを刻みつつ、印象的な4拍目。
ベースが少し動き出しました。
1:16~1:23 inter
1:23~2:31 2番
1番と同じ(笑)
強いて言えば、2:14でサビを二回繰り返すために繋げています。
2:31~3:00 ギターソロ
実はこの曲でもっとも珍しい部分と松本氏ならではの部分がここ。
2:43まではAメロにもあった、松本氏にしては珍しいアタック音強めのクリーン音。
その後は歪み音に変わり、松本氏ならではのチョーキングビブラートを効かせながらのギター。
まるで違うギタリストがギターバトルをしているかのような構成。
ギターソロ最後2:59のチョーキング→右手ハンマリング→スライドアップダウン→プリングのキメは他の曲でもよく出てきます。
まぁギターの音小さいのでかなり注意深く聴かなきゃいけませんが…(笑)
3:00~
フェードアウトもかなり早めに終わります。
必要以上に力をかけてない印象?
【総評】
変な曲です(笑)
タイトルが変。
ロックバンドと思えない打ち込み音が変。
しかしそれがオリジナリティです。
自分達のオリジナリティをどうにか作り上げたい気持ち、また世相を鑑みての作詞作曲でしょう。
無名であり販売は振るわなかったようですが、この時期かなりの作詞作曲をB'zはこなしており、1曲を練りに練るより、ストックを多く持ちライブで披露することを念頭に置いていたようです。
「だからその手を離して」はよりダンサブルに長尺になったバージョンと、かなりハードにへヴィとなったバージョンが作られます。
最初なので、B'zの成り立ちも併せての分析だったので長くなってしまいました。
読んでいただきありがとうございました。
次回は「君の中で踊りたい」です。
はじめに
はじめましてこんにちは!
ULTRASOULstationです!
いきなりですが私はB'zが大好きです。
大好きな要素はいろいろあります。 B'z二人のビジュアル、歌唱力、演奏力、ライブパフォーマンス、人柄などなど…
魅力に感じている方が多いからこそ、30年以上に渡り、第一線でクリエイティブに活動できているのではないでしょうか。
松本孝弘氏は20周年のNHKのインタビューにおいて、「売れて特に何が変わったか」との質問に、「音楽製作に時間とお金をかけられるようになったこと」と答えます。
スタジオに入り数人で打合せしつつ曲を練り上げていくのは、時間とお金を要します。
よりクオリティアップを狙うならそれは多いに越したことはありません。
B'zの強みの一つに、「楽曲が売れる」→「収入増」→「製作へのコストアップ」→「納得いく楽曲作成」→「楽曲が売れる」…の好循環を作り出せたことが挙げられます。
もちろん売れるのは運の要素も非常に強いですが…
私は、B'zの特色として「400曲以上ほぼ全ての曲において職人のこだわりで作る」というものがあると感じます。
そこで、野暮かもしれませんが、各曲のこだわりポイント、こんな面白いことをしているんだよというのを分析していけたらと思います。
大した知識もないまま書いて参りますので、一緒にB'zの曲を楽しむ気持ちで読んでいただけましたら幸いです。